

尾瀬は福島県・新潟県・群馬県の3県にまたがる2,000m級の山に四方を囲まれた盆地状の高原です。東側には燧ヶ岳、西側には至仏山があり尾瀬の雄大な景観を生み出しています。
東西6km・南北2kmの本州最大規模の高層湿原であり、成り立ちには所説ありますが、数万年前に燧ケ岳の噴火により只見川や沼尻川がせきとめられて、尾瀬ヶ原と尾瀬沼が誕生したと言われています。誕生した当初、尾瀬ヶ原は土砂で埋まった盆地でした。6,000年~7,000年という長い年月をかけて4.5m~5mもの「泥炭層」(1年間に1ミリ弱しか堆積しない)が堆積し、今の姿になったと言われています。
2007年に尾瀬国立公園に指定され、日本百景にも選定されています。
入山口は鳩待峠(はとまちとうげ)、大清水、御池、沼山峠、富士見下などいくつかあり、群馬側からの入山が可能なので関東から行きやすいのも魅力の一つです。
この中で一番利用が多いのが群馬側の鳩待峠。
尾瀬に来る約58.7%の方が鳩待峠からのコースを利用しています。次に多いのが福島県側の沼山口、約18.8%となっています。
雨や汗で濡れても大丈夫な様に速乾性のある化繊やウール素材がおすすめです
尾瀬は木道が整備されていますが、濡れると滑りやすくなります。できればグリップの効いたトレッキングシューズを装備した方がよいでしょう。鳩待峠の売店ではレンタルシューズもありますが、しっかりフィッティングをした自分だけの一足を揃える事をおすすめします。
日よけにも雨よけにもなります。標高1,400mの尾瀬の日差しは結構強いです。
尾瀬は山です。急な雨もしばしば。寒い時の羽織物としても使用可能です。上下セパレートタイプの物を準備しましょう。
行動中のエネルギー補給に。高カロリーかつ、糖質や脂質をたくさん含み、食べやすいものが適切だとか。羊羹や柿の種などを行動食にする人もいるとか。自分のお気に入りの行動食を探すのも楽しみの1つです。
雨対策や汗拭きなどに。
標高が高いので、晴れていると日差しも強いです。
尾瀬の歌と言えば、江間章子作詞、中田喜直作曲の「夏の思い出」。小学校で習った方も多いのではないでしょうか?
「夏が来れば 思い出す~♪」から始まるこの歌は1949年発表。この歌の人気と折からのハイキングブームによって尾瀬熱が一気に高まります。歌詞では夏となっていますが、水芭蕉の開花時期は5月中旬から6月下旬までです。水芭蕉の白い部分は花ではなくて、葉っぱの変形したもので、真ん中のトウモロコシのような部分が実は水芭蕉の花なのです。実は水芭蕉って黄色い花だったのです。5月中旬頃、尾瀬ヶ原周辺から咲き始め、尾瀬沼周辺では数日~1週間遅れで見られるようになります。まだ雪の残る尾瀬で雪の下から顔を出す水芭蕉に出会えた時の喜びは格別です。
カヤツリグサ科の多年草で6月中旬から7月上旬までが見頃。
ニッコウキスゲと同じ条件を好みます。ニッコウキスゲより早い、6月下旬に開花します。
花が終わると名前の通り綿毛を付ける為、綿毛が口の中に入る事があるので注意しましょう。
ユリ科の多年草で7月上旬から8月上旬頃までが見頃。花は朝には咲き夕方にはしぼんでしまう1日花です。
根の部分は、かなり美味しいとか・・・ツボミの酢漬けもかなり美味らしいですが・・・
ニッコウキスゲは鹿の食害がかなり深刻化しているとの事。鹿もおいしいのが分かっているんですね。
7月下旬~9月上旬が見頃。2~3cmの小さな花を咲かせます。スイレン科の多年草で名前の由来は未の刻(午後2時)頃に花を咲かせることから、ヒツジグサと名付けられたそうです。
花は朝から夕方まで咲いています。
午前10時頃に花が咲くので早朝だとヒツジグサは見れないようです。
夜には花は閉じてしまいます。
スズメ目ホオジロ科。全長約16cm。
鳴き声「チョッ チィ チチュ チュチョリチチ」
尾瀬を代表する鳥のひとつ。 春から秋まで尾瀬ヶ原周辺の湿原に生息。頬の褐色が名前の由来。湿原内の草木に止まっている姿を見る事ができます。
スズメ目ヒタキ科。全長約13cm。
鳴き声「ヒーチュ ヒチー」、「チー ピーチョチー」
尾瀬を代表する鳥のひとつ。春に東南アジアから飛来し、春から秋まで尾瀬ヶ原周辺の林に生息しています。写真は雄。
スズメ目ホオジロ科。全長約21cm。
鳴き声「チチン チチン」
尾瀬を代表する鳥のひとつ。 尾をふりふりしながら歩く姿がチャーミングな野鳥です。山ノ鼻ビジターセンターや山小屋周辺での目撃が多い鳥です。
スズメ目ツバメ科。全長約14cm。
鳴き声「ジュピッジュピッ」、「ジュルッ」
山小屋などの周辺に生息しています。山小屋やお手洗いなどの軒下に巣を作っているのを見かける事ができます。口は横に大きく開くがまぐち型で、空中を飛行する虫を食べています。
食肉目イタチ科。体長15~30cm。
尾瀬で生息しているオコジョは、「ホンドオコジョ」。中部山岳部より北部の標高1,500m以上の亜高山帯に生息している種類です。見た目はかわいらしいのですが、実は肉食。野ネズミや昆虫、空腹時には自分より大きな野鳥や野ウサギなどを襲う事もあります。オコジョを発見した人は尾瀬沼ビジターセンターで「オコジョ発見カード」をもらう事ができます。
げっ歯類ヤマネ科。体長6~9.6cm。
日本固有種の哺乳類。日本に生息する哺乳類の中でも最古参の種で「生きた化石」とも呼ばれています。夜行性で、木の上で生活します。尾瀬では山小屋の布団の中で冬眠しているヤマネを発見する事もあります。
平成30年度に尾瀬で発生が確認された傷病事故は66件。前年度と同様の件数です。
その内、木道・歩道での転倒・転落による事故が44件。全体の半数以上を占めています。
時期で言うと、6月の雪解けシーズンが最も発生件数が多く、雪で滑ってのケガ、と考えらえれます。
「ハイキングだから」と備えを疎かにせず、自分の足にあったトレッキングシューズの装備と、準備運動をしっかりとして、楽しい尾瀬を満喫できる様にしましょう。
出典:平成30年度 尾瀬消防事故統計より
昭和30年代、登山ブームが起こり、尾瀬にはたくさんの人が訪れました。当時はまだ木道も整備されておらず、訪れた人々は湿原の中を自由に歩き回り、湿原の荒廃が進行しました。
その後、昭和41年から福島県と群馬県による植生復元活動が始まり今に続いています。尾瀬の自然を守る為に以下、ご協力ください。
■動植物の採取はしない
尾瀬は国立公園の特別保護地区および国の特別天然記念物に指定されており、
人為的な行為について規制があります。
落ち葉・落枝一本でも採取は出来ませんので、ご注意ください。
■ゴミは持ち帰りましょう
尾瀬は「ごみ持ち帰り運動」の発祥の地でもあります。尾瀬にゴミ箱はありません。お持ち帰りをお願いします。
■ペットは持ち込まない
■外来植物を侵入させない
各入山口には「種子落としマット」があります。靴底の泥をよく落として入山してください。
■木道・歩道を歩きましょう
木道は湿原を保護する為の物です。カメラの三脚なども立てない様にご注意ください。
■公衆トイレの使用はマナーを守りましょう
尾瀬のトイレの浄化槽維持管理には大変な手間がかかります。尾瀬の自然を守る為にも備え付けのトイレットペーパーを使用する。トイレットペーパー以外の物を流さない。募金箱へ感謝の気持ちを・・などマナーを守ってのご利用をお願いします。
■お金は投げ入れない
池塘や川にコインを投げ入れないでください。また尾瀬に来たいという気持ちはそっと心にしまって、次の尾瀬来訪を考えながら帰りましょう。
■ストックの利用には気を付けましょう
尾瀬でストックを使う際にはストックの先端にキャップを付けて使用しましょう。キャップを付けないで使うと、植物や土壌を痛めるだけでなく、木道の傷みを進行させる事にもなります。
尾瀬周辺には片品温泉、座禅温泉、尾瀬戸倉温泉など多種多様な温泉があります。
運動の後に温泉に入るのもハイキングの醍醐味の1つです。
その土地の物を食べるのも旅の楽しみの1つ。尾瀬と言ったら「まいたけ弁当」!味の染みたまいたけは、ご飯との相性も抜群!ぜひご賞味ください。