富士山の天気を読む
富士山の天気を読む

富士山の天候を予測して安全に登山をしてもらうために、 天候についてのマメ知識と登山中の悪天候への対応をご紹介します!登山前に要チェックです!


その1雲のウンチク!登山前に天気を予測しよう!

山の天気を左右するものには「雲」や「風」、「気温」など色々な要素がありますが、風や気温は直接目で見ることができませんが、雲は見えますよね。
時々刻々と変化する雲の種類を知って、登山前に予測しちゃいましょう!

基本的には雲は10種類です。まず、各層(上・中・下)ごとの雲の名称を表にてご確認ください。
「積」及び「層」という種別があるのにお気づきいただけますか。
○○積雲とは、丸みがあって輪郭がはっきりしている雲、○○層雲とは、ベール状や煙状をしており輪郭がはっきりせず、
しかも全空に広がりやすい雲です。
この「積」及び「層」のつく名称の雲は、各層の中に必ずあります。
また、各層ごとの区別として、上層の雲の名称の頭には「巻」、中層の雲の頭には「高」がつき、発生する高さを区別しています。
更に、各雲には俗称もついているので俗称で覚えていただくのも覚えやすいですよ。
只、雲は千変万化するので、正確に雲を把握するのは難しいですよね。
このページをご覧になられた方は、登山前に日常の雲で確認してみてください。

上層

巻雲(すじ雲)

西の空に現れて空に広がっていくと1~2日後に天気は崩れる可能性があります。

巻雲

巻積雲(うろこ雲)

この雲が現れて広がると翌日の天気は崩れる可能性があります。

巻積雲

巻層雲(うす雲)

この雲が空を覆うと翌日の天気は崩れる可能性があります。太陽や月が暈をかぶると雨になると言われますが、その時の雲はこの雲です。

巻層雲
中層

高積雲(ひつじ雲)

この雲が空に増え、層状の高層雲が広がると雨が降り出す可能性が高いです。

高積雲

高層雲(おぼろ雲)

この雲は高さや形により種類が色々ありますが、雲が低く厚くなってくると、雨が降る可能性が高いです。

高層雲

乱層雲(あま雲・ゆき雲)

この雲は雨を降らす雲です。地上近くまで霧がかかった様になり見通しも悪く、暗くなります。

乱層雲
下層

層積雲(うね雲)

この雲は長いうねになって横に広がり雲の底は暗い曇り雲です。富士山など高い山などの雲海は、この雲であることが多いです。

層積雲

積雲(わた雲)

この雲は安定した天気の時、青空の低い所に浮かんでいます。

積雲

層雲(きり雲)

この雲の下は、約1~2時間と短い時間で、突風や激しい雨、落雷で大荒れになる為、要注意です。

層雲

積乱雲(かみなり雲)

この雲は非常に大きく、雲の下では激しい雨や雹(ひょう)・霰(あられ)、突風が吹き、雷も発生します。降水量は乱層雲より格段に多く、短時間で大量の雨(集中豪雨)を降らせます。

積乱雲

その2富士山頂にかかる雲の形で天気予報!

出発前に予測していても、山の天気は変わりやすい!そんな時は、登山当日の富士山を見ても予測することができちゃいます!
富士山麓には、富士山と雲に関係したこんなことわざがあるんです。
「山頂を覆う笠雲の、ひとつ笠は雨の兆し」「頂の上空にある、はなれ笠は日和の兆し」などです。
昔から人々は富士山にかかる雲の様子を見て天気を予測し、農作業や生活に役立て、
実際に河口湖測候所が約20年間をかけ観測し予報精度の高さも証明されています。
富士山にかかる雲の中でも、「笠雲」と「吊し雲」が有名で、笠雲20種、吊し雲12種に分けられています。
笠雲と吊し雲の出現時の気圧配置は、ほとんどが日本海低気圧型のときですが、雲の種類と気圧配置の関係が密接に関わっています。
出現時間は、約2~3時間で、笠雲の出た当日または翌日に雨の降る確率は72%、吊し雲の場合は82%、
笠雲と吊し雲が同時に現れる確率は、単独で現れる日数の10%以下で雨の降る確率は70%と高確率です。
そのため、笠雲や吊し雲が出現すると悪天候ということになりますが、全ての笠雲や吊し雲が悪天候になるわけではありません。
下記に、笠雲や吊し雲での天気予報を紹介します!
前項の「雲のウンチク」と併せて、登山当日、笠雲や吊雲が出ていたら予測してみてください。

【好天】
はなれ笠、つみ笠(「日和笠」と呼ばれています)
【雨】
笠雲:ひとつ笠、ひさし笠、まえかけ笠、えんどう笠、れんず笠など(「雨笠」と呼ばれています)
吊し雲:だえん吊し、つばさ吊し(「雨俵」と呼ばれています)
【強風】
みだれ笠、とさか笠(「風笠」と呼ばれています)
【強雨強風の荒天】
にがい笠、かいまき笠、はふ笠、おひき笠、すえひろ笠、うず笠(「風雨笠」と呼ばれています)
笠雲

ひとつ笠

ひとつ笠

にかい笠

にかい笠

はなれ笠

はなれ笠

ひさし笠

ひさし笠

かいまき笠

かいまき笠

はふ笠

はふ笠

われ笠

われ笠

まえかけ笠

まえかけ笠

うねり笠

うねり笠

よこすじ笠

よこすじ笠

おひき笠

おひき笠

みだれ笠

みだれ笠

すえひろ笠

すえひろ笠

うす笠

うす笠

ふきだし笠

ふきだし笠

はふ笠

はふ笠

われ笠

われ笠

まえかけ笠

まえかけ笠

うねり笠

うねり笠

よこすじ笠

よこすじ笠
吊し雲

だえん

だえん

なみ

なみ

つい

つみ

はどう

はどう

つばさ

つばさ

まわり

まわり

えんどう

えんどう

はち

はち

かどう

かどう

つみ

つみ

そうせき

そうせき

きようせき

きようせき

富士山登山には、悪天候は付きものです。
「備えあれば、どんと来い!」です。 登山中のマメ知識をここではご紹介します!

その1雷について

富士山は独立峰のため、風が強く上昇気流も発生しやすいので雷が多いです。
雷が発生した時は慌てず、下記の事項を守り、雷雲が去るまで待ちましょう!

●近くの山小屋に避難する。
●近くに山小屋がない場合は、周りより低い所で、できるだけ身体を小さくかがめ、
 地面に手を付けず(近くで雷が落ちた場合の地電流を避けるため)、ザックを敷いて座る。
●金剛杖やストックなどは、絶対に立てない。(雷は尖ったものに落ちやすいため)

その2風速について

富士山の7・8月の平均風速はおよそ8m/Sですが、一般的に風速が1m強まると、体感温度は1℃下がると言われています。
富士山頂での最大瞬間風速は、なんと91m。1966年9月25日に記録した記録です。 強風に吹かれ、雨に降られたら大変危険ですのでご注意を!
また、山頂のお鉢めぐりも風の強い日は、風にあおられ滑落の危険があるのでやめましょう!

その3紫外線について

紫外線は、標高が1,000m高くなると10%増加すると言われます。
富士山頂の紫外線の量は、平地の3割増し。空気の密度が薄いと、紫外線が拡散されにくく強い紫外線を浴びることになるので、
しっかりとUV対策をしてください。
日焼け止めは、空が曇っていても男女問わず塗りましょう!

その4気圧について

富士山に登ると、携帯食のお菓子の袋がパンパンになります。これは外の気圧が低く、袋の中の気圧の方が高いためにパンパンになるため。
気圧は、空気の重さによる圧力なので、上に乗っている空気の量により変わります。高い山と私たちが日常過ごしている地上を比べると、高い山の方が空気が薄いので、気圧の方が低いのです。
気圧は10m高くなると1hpa下がるといわれ、富士山は地上より約40%空気が薄いということになるので、高山病も心配ですよね。
高山病にならないためにも、ゆっくり歩き、身体を高所に慣らしながら登りましょう!

その5気温について

登山中、標高が100mると気温は0.6℃下がります。 富士山吉田口の五合目が2,305mで、頂上が3,776mということは、その差1,471m。
五合目で15℃ある気温も頂上では6℃まで冷え込みます。
ご来光前の気温は更にぐっと冷え込み、0℃以下の日もあるので防寒着やカイロなどをしっかり準備してください!

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