写真/ピクスタ

旧国鉄広尾線の「幸福駅」は、縁起の良い名称から恋人の聖地として人気のある観光地です。 路線と同時に駅が廃止されてから30年以上経った現在でも、多くの観光客が訪れる名所となっています。 今回はそんな「幸福駅」をご紹介します。

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旧国鉄広尾線は帯広駅から十勝平野を南下し、 襟裳岬の手前である広尾町広尾駅間84㎞を結んだローカル線で、1932年に開業しました。 幸福駅は1956年8月に仮乗降場として設置され、3カ月後の11月1日に駅として営業を開始しました。 その後、幸福駅は一時はブームを巻き起こすほどの人気観光地となりましたが、 広尾線自体は利用客の減少により1987年に廃止されてしまいました。 当初は廃線後に駅舎も解体される予定でしたが、 ブーム以降も観光客が訪れていることから廃線後も観光地として存続することになり、 現在も当時の雰囲気をそのままに保存されています。

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もともと一部の旅行者には注目されていましたが、 1973年にＮＨＫの紀行番組「新日本紀行」で『幸福への旅～帯広～』が放送されたことがっきっかけで、 「幸福駅」の駅名が全国的に知れ渡りました。 幸福駅の2つ隣りの「愛国駅」と合わせて「愛国から幸福ゆき」の切符が注目され、 この切符を求めて多くの観光客が訪れるようになりました。 前年の1972年には7枚しか売れなかった「愛国－幸福」間の切符が、 この年は300万枚、以降4年間で1000万枚を超えるほど売れて 『幸福駅ブーム』を巻き起こしました。

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開業当初から長年にわたって厳しい風雪に耐えてきた幸福駅の駅舎は、 耐震補強を行うことさえ困難なほど老朽化が進んでいました。 そこで、訪れる人の安全の確保と更なる魅力アップを図るため、 2013年に“古くて新しい”をコンセプトに、 オリジナルの雰囲気を保ちつつ新たに立て替えられました。 その際に、敷地内に噴水「愛の泉」やシンボルツリー「幸福の木」を新設するなど、 より魅力溢れるスポットとなりました。

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ちなみに、こちらが建て替え前の駅舎。外観の雰囲気は忠実に再現されています。

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幸福を願うある観光客が自分の名刺を駅舎の壁に貼り付けたことがきっかけでそれが慣例となり、 旧駅舎時代には壁一面に、メッセージを記した名刺や使い終わった定期券が張り付けられていました。 新駅舎になってからは切符を模したメッセージカードを使用するようになり、よりSNS映えする光景になりました。

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当時、帯広～広尾間を走ったディーゼルカー2両や、 板張りのプラットホームも、そのまま保存されています。 プラットホームを歩けば、タイムスリップしたかのように当時の風情を楽しむことができます。

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幸福駅では縁起の良い名称を活かして「幸福駅ハッピーセレモニー」として、 ウエディングドレス、タキシードに着替えて、ウエディング体験や記念撮影をすることができます。 大切な人との素敵な思い出作りに体験してみてはいかがでしょうか。

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「愛の国から幸福へ」の出発点・愛国駅は現在は交通記念館となっており、 当時使用していた切符、パネル、SLを展示しています。

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駅舎前には「幸福行き」切符を型どったモニュメントが設置され、 絶好の撮影スポットになっています。
同じ帯広市内で車で約10分の距離なので幸福駅とセットで見学するのもオススメです。

幸福駅に行きたくても時間がないという場合は、 帯広駅エスタ東館2Fの「とかち観光物産センター」に幸福駅のミニチュア版のレプリカが設置されています。 次回訪れることを祈念して、幸福駅疑似体験をしてみてはいかがでしょうか。

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帯広市内にありますが、中心部から離れた場所に位置しており、 帯広駅前から路線バスで約50分かかります。 マイカーやレンタカー利用の場合は、帯広駅から約30分の道のりです。 とかち帯広空港のすぐ近くに位置しているので、空港を利用する場合は立ち寄ってみるのもオススメです。 とかち帯広空港から幸福駅までは車で約10分の距離です。